ドラゴンキーパー 最後の宮廷龍
キャロル・ウィルキンソン 作 もき かずこ 訳 町田尚子 絵
古代中国が舞台の冒険ファンタジー。長安から遠く離れた帝国のはずれ。自分の名も年齢も知らない奴隷の少女は、酷薄な主人(宮廷の龍守り。酒におぼれ、龍の世話を投げ出している。)にこき使われています。龍の世話をしているうちに、龍の言葉を理解出来る事に気づきます。龍を嫌う皇帝が、野卑で残酷な龍狩り(ドラゴンハンター)に龍を売り渡す事を知り、龍を逃がそうとしますが、「妖術使い」と呼ばれ、宮廷とドラゴンハンターに追われる羽目になります。龍は少女に心を開き、生きる知恵を授け、二人は友情で結ばれてゆきます。
『小さな犬』の町田尚子さんの挿絵に惹きつけられ借りてみました。読み出したらのめり込んで、深夜まで読みふけりました。次の朝のお弁当作りと仕事がしっかりありましたが、自分の感性にピタッとはまる本に巡り合えた充実感で、気持ちは生き生き。
読み進むうちに、物語の設定は始皇帝の焚書坑儒から約70年後、前漢の時代だとわかります。少年時代の武帝も登場し、ドラゴンが主人公の空想小説が人間臭さを帯びて展開していきます。奴隷生活しか知らず、逃げ出す気力も知恵も無かった少女が、どんどん強くなっていく様はとてもまぶしいですし、誰にも頼らずに生きていく、幼い龍を育てていく最後の姿は涙が出ます。
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