ファンタジー

2008年5月10日 (土)

ドラゴンキーパー 最後の宮廷龍

キャロル・ウィルキンソン 作 もき かずこ 訳 町田尚子 絵P4210003
古代中国が舞台の冒険ファンタジー。長安から遠く離れた帝国のはずれ。自分の名も年齢も知らない奴隷の少女は、酷薄な主人(宮廷の龍守り。酒におぼれ、龍の世話を投げ出している。)にこき使われています。龍の世話をしているうちに、龍の言葉を理解出来る事に気づきます。龍を嫌う皇帝が、野卑で残酷な龍狩り(ドラゴンハンター)に龍を売り渡す事を知り、龍を逃がそうとしますが、「妖術使い」と呼ばれ、宮廷とドラゴンハンターに追われる羽目になります。龍は少女に心を開き、生きる知恵を授け、二人は友情で結ばれてゆきます。

『小さな犬』の町田尚子さんの挿絵に惹きつけられ借りてみました。読み出したらのめり込んで、深夜まで読みふけりました。次の朝のお弁当作りと仕事がしっかりありましたが、自分の感性にピタッとはまる本に巡り合えた充実感で、気持ちは生き生き。
読み進むうちに、物語の設定は始皇帝の焚書坑儒から約70年後、前漢の時代だとわかります。少年時代の武帝も登場し、ドラゴンが主人公の空想小説が人間臭さを帯びて展開していきます。奴隷生活しか知らず、逃げ出す気力も知恵も無かった少女が、どんどん強くなっていく様はとてもまぶしいですし、誰にも頼らずに生きていく、幼い龍を育てていく最後の姿は涙が出ます。

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2008年4月 3日 (木)

クロニクル 千古の闇

ミシェル・ペイヴァー 作 さくま ゆみこ 訳 酒井駒子 絵P3260070
紀元前4000年のヨーロッパが舞台。オオカミ族の少年トラクの冒険は3巻目、『魂食らい』に入りました。弟分のオオカミのウルフ、友達の女の子レンと共に、1巻でお父さんを殺した恐ろしい魔道師〈魂食らい〉達と対峙します。ウルフをさらわれたトラクとレンは、北へ北へと誘拐者を追跡し、極北の地に足を踏み入れます。3巻でだんだん正体を現してきた〈魂食らい〉、世界を自分達の支配下に置くため、動物達を生贄にして悪霊を呼び出します。
次巻はどんな展開になるか、「精霊わたり」の能力が知られてしまったトラクはこの先どんな戦いをしていくのか、また楽しみです。

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2008年3月22日 (土)

崖の国物語

ポール・スチュワート 作 クリス・リデル 絵 唐沢則幸 訳P3160017
崖っぷちにある「崖の国」を舞台にした冒険小説。第8巻での主人公は、トウィッグのお父さん、雲のオオカミことクウィントです。少年時代のクウィントがサンタフラクスの飛空騎士団に入り、寒波に覆われた崖の国をマリスや仲間たちと共に救います。壮大な物語の初期の頃を描いています。第1巻から第7巻までに登場した人物達の若き頃も出てきます。薄明の森で生きながら死んでいた騎士スクリーディウスと愛獣(?)ヴァンクウィクス、泥地で追いはぎをしていたヘムフィックス・ルート、そして、トウィッグの章で最高位学者をしていたヴィルニクス・ポムポルニウス。ヴィルニクスは、若い頃から「頂上に登りつめるのに必要な能力・・・狡猾さ、敵意、裏をかく事、人を欺く技・・・を持っている」と自負していて、その通りになるのですが、マリスのお父さんを除いて、最高位学者は皆そういった人物がなっているようです。権力を握り、私利私欲に走り、弱い者を迫害する姿(現実の権力者も往々にして、こうですね・・・)は、全巻共とても残酷です。8巻はまだ殺伐としたシーンは少ない方か・・・とも思えますが。ともあれ、各巻とりあえず勧善懲悪な1話完結で来ているので、この8巻も、悪に蹂躪されてきりきりしながら読み進むうちに、クウィントや善良な仲間達の怒涛のような活躍で、最後はホッと胸をなでおろす結末が待っていました(^^)次巻はどうなるか?『崖の国』ワールドは一度ハマると抜けられません。

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